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研究計画名 B型肝炎ウィルス持続感染症例におけるウィルスゲノム異常の解析
1.【研究課題名】
○B型肝炎ウィルス持続感染症例におけるウィルスゲノム異常の解析
B型慢性肝炎は、日本人の肝炎の約10~20%を占めており、20~30年の経過ののちに高率に肝硬変や肝癌へと進展にすることが知られています。
B型慢性肝炎の患者さんには、注射薬であるインターフェロン製剤に加え、内服薬である核酸アナログ製剤(ラミブジン、アデホビル、エンテカビル、テノホビル)による治療が行われています。治療の目標は、B型肝炎ウィルスを鎮静化させ、慢性肝炎から肝硬変や肝癌に至る病態進行を抑えることにあります。そして核酸アナログ治療は、ウィルスを鎮静化させる効果が非常に高いことが知られています。
しかしながら、現時点ではこれらの治療も長期間継続することにより、薬剤耐性ウィルスが出現してしまい、再び肝炎を起こしてしまう危険性があると知られています。薬剤耐性ウィルスはウィルスの遺伝子の一部が突然変異を起こすことにより出現することが知られていますが、近年の技術の進歩により、実は患者さんの体内では治療を始める前からさまざまな変異を抱えたウィルスが混在していることが明らかになってきました。またウィルスの遺伝子の一部の突然変異のみならず、複数の遺伝子に跨るような大きな変化が起きていることがわかってきました。
これらの変化が慢性肝炎のご病気の状態や進行にどのような影響を及ぼしているのか分かれば、患者さんのご病気の進み方の予測や新たな治療法の開発に役立つと考えています。この研究では、B型慢性肝炎の患者さんに感染しているウィルスの遺伝子配列を治療の行われていない状態で詳しく調べることにより、肝炎の活動性や進行に関与するウィルス側の因子を明らかにすることを目標としたいと考えております。私たちは、この研究は今後のB型慢性肝炎患者さんの治療内容を向上する上で有意義であり、社会への貢献が図れるものと考えています。
3.【研究期間】
承認日から2025年6月まで
5.【研究内容】
(1) 対象
2001年4月から2020年8月31日までに京都大学医学部附属病院に受診された方のうち、B型肝炎ウィルスに感染している、もしくは過去に感染していた方で、京都大学医学部附属病院での診療中に血液を採取された方
(3) 研究方法
京都大学医学部附属病院に保管されている血清からB型肝炎ウィルスの遺伝情報を分離し、解析を行います。カルテ情報から得られたご病状や検査結果とその方の罹患しているウィルスの遺伝子の特徴との関連性を解析し、ご病気の進行や転帰や治療効果に関連する因子を検索します。
6. 研究担当機関の名称ならびに研究担当者の氏名
(1) 京都大学医学部附属病院消化器内科
教授 妹尾 浩
助教 高橋 健
助教 髙井 淳
助教 清水 孝洋
助教 惠莊 裕嗣
医員 荒澤 壮一
大学院生 熊谷 健
大学院生 三嶋 眞紗子
大学院生 寺村 茉利
大学院生 中野 重治
(2) 大阪赤十字病院消化器内科
部長 丸澤宏之
7. 本研究について
本研究は、京都大学大学院医学研究科・医学部及び医学部附属病院 医の倫理委員会の審査を受け、研究機関の長の許可を得て実施するものです。
本研究では日常診療において採取された血液・血清検体の余剰分を用いるため、患者様において新たに検体を採取されたり通院の回数が増えたり、追加の費用負担が発生したりといった不利益が発生することはありません。また本研究への参加に伴って日常診療の治療内容が変更になったり制限されたりすることはありません。
本研究への参加を希望されない場合は、概要に記載されている担当者までその旨仰せつけください。研究への不参加を表明された場合でも、何ら不利益をこうむることはありません。また研究対象者若しくはその代理人の方から要請があった場合には、研究対象者が識別される試料・情報の利用はただちに停止されます。本研究に関連して他の研究機関へ提供されることはありません。
ほかの研究対象者等の個人情報保護や研究の実施に支障のない範囲で研究に関する資料を入手・閲覧することができます。ご請求は下記の連絡先まで仰せつけください。
8. 問い合わせ先
(1) 研究担当者
京都大学医学部附属病院 消化器内科 助教 髙井 淳
電話:075-751-4319
(2) ご意見・ご相談窓口
京都大学医学部附属病院 相談支援センター
電話:075-751-4748 E-mail:ctsodan@kuhp.kyoto-u.ac.jp
9. 研究の資金・利益相反
本研究は厚生労働省の科学研究費によって実施されますが、資金提供者である国(厚生労働省)はこの研究の企画、運営、解析、論文執筆に関与しません。この研究の研究責任者および研究担当者は「京都大学利益相反ポリシー」「京都大学利益相反マネジメント規程」に従い、京都大学臨床研究利益相反委員会に必要事項を申告し、審査を受け、承認を得ています。