京都大学大学院医学研究科・消化器内科学 Department of Gastroenterology and Hepatology, Kyoto University Graduate School of Medicine

臨床医こそ研究を

Encouragement of research

臨床医への研究のススメ

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臨床を志す人はそのまま一生臨床していればいいように思うのが普通でしょう。 ではなぜ、いわゆる基礎研究者ではないバリバリの臨床医でも大学院などを受験して研究生活に従事する人がたくさんいるのでしょうか?臨床医が研究に従事する意義・理由はたくさんあります。医学研究に自らが取り組むことを通じて得ることのできる最も重要な点は、“ある疾患に対する疑問点を明らかにするためには、何を考え、どうやって調べ、それをどのように立証していくのか?”という一連の思考過程と検証方法を学ぶことにあります。

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誰もが経験することですが、一人前の臨床医になればなるほど、現実の臨床での限界に直面することになります。例えば私たち消化器内科領域の主たる対象疾患として、胃癌、肝臓癌、大腸癌、膵臓癌などの癌があります。実際の臨床の現場では、早期に発見された胃癌や大腸癌は内視鏡治療を駆使すれば根治治療が可能となってきています。 しかしながら、ある程度進行した状況で発見されたヒト癌の大部分は、いかに経験豊富な熟練した臨床医がもてるだけの知識と技術を駆使しても、延命治療はできても根治することはできない、という厳しい現実に直面することになります。

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このような臨床の限界にぶつかった際に、“胃癌の病態はどこまで解明されていて何がわかっていないのか?”“新しい治療方法を考案するには何が必要で何をすればよいのか?”をじっくりと見据えて、学び、考える一連の過程は臨床医にとって非常に重要です。

このように、ひとつの疾患や病態に照準をしぼった医学研究にある一定期間従事することにより、その後再び臨床の現場に帰ってからの自分自身の疾患への取り組み方や考え方が大きく進歩し、それが最終的には臨床医としてのさらなるスキルアップにつながることは明らかです。
写真同時に、研究過程の中で、それぞれの専門領域でさまざまな研究に従事しているたくさんの先輩たちと出会い、指導を受け、時には力を合わせてひとつの疾患研究に立ち向かうことは、たくさんの出会いを通じて自分自身の視野を広げることにもつながります。

したがって、もしたくさんの臨床経験を積み重ねる中で臨床の壁に直面したことに気づいたのなら、もし目の前の疾患と闘う術がなく悔しい思いを経験したのなら、長い医師人生の中で一度は医学研究に没頭する期間を設けることをすすめます。

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