内視鏡部のご紹介
clearfix沿革と特徴
内視鏡部の沿革
内視鏡部は、国公立大学附属病院の中央診療部門に属する光学医療診療部として、平成3年4月に全国に先駆けて設立されました(平成19年4月より内視鏡部に改称)。設立当初は消化器内視鏡部門のみでしたが、平成12年1月より気管支鏡部門が併設されました。平成20年の改装工事を経て、平成27年には最新の内視鏡機器への更新を行い、現在はオリンパス社とのVPP契約も利用しつつ、国内トップレベルの最新の内視鏡設備を整えて診療に臨んでおります。内視鏡部スタッフは多くが消化器内視鏡学会の指導医もしくは専門医であるほか、診断から治療まで消化器内科、腫瘍内科、呼吸器内科、呼吸器外科などのスタッフと協力して病院全体の消化器疾患、呼吸器疾患の診療に従事し、最先端の内視鏡医療、臨床研究、さらには若い医師の教育を実践しています。
内視鏡部(消化器診療)の特徴
消化器疾患の診療において内視鏡検査・治療は必要不可欠であり、その基本的技術の習得は消化器内科医にとっては必須課題です。 最近の内視鏡医療の進歩は目覚ましく、狭帯域光観察(NBIやBLI)に代表される画像強調内視鏡(IEE)の導入、拡大観察のルーチン化、胆膵領域における超音波内視鏡ガイド下での組織採取や細胞診、胆管内超音波検査、胆道鏡、胆管・膵管ドレナージ、炎症性腸疾患を中心としたカプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡による小腸病変へのアプローチなど、消化器全般を網羅する新しい診断・治療体系が構築されています。また内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が胃・食道・大腸・十二指腸と、小腸を除くすべての消化管臓器に保険収載されたこともあり、早期の消化管がんに対しては大きさを問わず積極的にESDを行っております。また、特に食道領域においては食道狭窄に対するRIC(Radial Incision and Cutting)法や食道がん化学放射線治療後の再発巣に対する光線力学的治療(PDT)など先進的な治療にも取り組んでおります。さらに、京都大学病院は移植医療のメッカであり、生体肝移植後の胆管吻合部狭窄に対する内視鏡処置や小腸移植後の移植小腸の拒絶反応の内視鏡による早期診断など他施設では経験できない特殊な内視鏡検査・治療も行っています。近年ますますその重要性を増している膵がん、胆道がん、あるいは総胆管結石といった胆膵疾患や、指数関数的に患者数が増加している炎症性腸疾患の内視鏡、関連処置数は、内視鏡部でも増加の一途を辿っています。内視鏡を用いた根拠に基づく医療(EBM)の構築にも力をいれており、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の臨床研究や関連病院との共同研究にも積極的に取り組んでおります。
経験豊かなスタッフと最新の内視鏡機器の両者を備えた環境で、内視鏡の初期研修を希望される方、最先端の内視鏡検査・治療手技を習得されたい方、 新規の内視鏡手技や機器の開発、臨床試験に興味を持っておられる方は是非ご連絡ください。
業務概要
内視鏡部は、消化管、胆膵領域、呼吸器の3分野の内視鏡業務を担当する部門であり、京都大学病院におけるこれら3領域の内視鏡検査と治療のすべてを行っています。悪性新生物は我が国の死因の第1位であり、最近のがん統計(2024年)によれば死亡数は肺がん、大腸がん、膵がん、胃がん、肝がんの順になっています。この現状を鑑みても消化器がん、肺がんにおける早期発見・診断・低侵襲治療・緩和医療といった内視鏡医療の果たす役割は大きいものです。また、炎症性腸疾患、消化管出血、総胆管結石や閉塞性黄疸への緊急処置、その他の良性慢性疾患への対応も含め、カバーする領域は広範囲にわたるため、最新の知識・技術をもつ専門医がそれぞれの分野を担当することによって、質の高い内視鏡医療を提供できるよう日々、努力と研鑽を積んでいます。
具体的な業務内容例
消化管
- 消化管出血に対する緊急止血術(365日24時間対応)
吐下血や血便などの急性の消化管出血に対し、緊急内視鏡で出血源を同定し、迅速に止血します。重症例では輸血・循環管理を行いながら、再出血リスクも含めて総合的に対応します。 - 胃食道静脈瘤に対する内視鏡治療(EVLやEIS)
肝硬変などに伴う静脈瘤に対して、出血予防や止血目的にEVL(結紮)やEIS(硬化療法)を施行します。内科的治療(β遮断薬等)や肝機能評価と組み合わせ、再発予防まで見据えて管理します。 - 消化管の早期がんに対する内視鏡診断とESDを中心とした内視鏡的切除術
拡大内視鏡や画像強調観察を用いて早期がんの拾い上げまた範囲や深達度の正確な評価を行います。ESDなど内視鏡治療の適応例に対しては、臓器温存を図りつつ、一括切除による確実な病理評価と根治性の両立を目指します。 - 表在頭頸部がんに対する全身麻酔下内視鏡的咽喉頭手術(ELPS)
咽喉頭領域の表在がんを対象に、全身麻酔下で視野と安全性を確保しながら内視鏡的に切除する手技です。音声・嚥下機能の温存を重視しつつ、局所制御を狙います。 - 食道がん化学放射線治療後の再発巣に対する光線力学的治療(PDT)
食道がんの化学放射線治療後の局所再発で外科的救済が困難な症例などに対し、光感受性物質とレーザー照射を組み合わせて腫瘍を選択的に壊死させます。侵襲を抑えた救済治療として位置づけられます。 - イレウス管や経管栄養チューブの留置
腸閉塞症例では減圧目的にイレウス管を留置し、症状緩和と状態安定化を図ります。経管栄養チューブは嚥下障害や低栄養の患者で、栄養投与ルートの確保として活用します。 - 消化管狭窄に対するバルーン拡張術、RIC(Radial Incision and Cutting)法やステント留置
良性狭窄ではバルーン拡張や難治例ではRICで切開を加え通過性の改善を目指します。悪性狭窄ではステント留置により経口摂取や通過障害の改善を図り、QOL向上に寄与します。 - 頭頸部・食道悪性腫瘍や脳神経疾患患者に対する内視鏡的胃瘻造設術
長期的な経腸栄養が必要な症例に対し、内視鏡下に安全に胃瘻を造設します。原疾患や気道リスクを評価し、他科(耳鼻咽喉科・脳神経内科等)と連携して適応の判断と周術期管理を行います。 - カプセル内視鏡やダブルバルーン内視鏡を用いた炎症性腸疾患における小腸の精査や原因不明の消化管出血の出血源検索
小腸病変は通常内視鏡では評価が難しいため、カプセル内視鏡で非侵襲的にスクリーニングし、必要に応じて小腸内視鏡で精査・治療までつなげます。炎症性腸疾患(IBD)の病勢評価や、原因不明出血の出血源同定に有用です。
胆膵
- ERCP(内視鏡的逆行性胆管膵管造影)による胆膵疾患の診断および、胆管ドレナージ、乳頭切開、採石、胆管ステント留置など
胆管結石、胆管炎、悪性胆道狭窄などに対して、診断と治療を並行して行っていきます。感染コントロールを含む緊急対応(ドレナージ)から、採石・ステント留置まで病態に応じて選択します。 - 超音波内視鏡を用いた組織採取(EUS-TA)や膵嚢胞ドレナージなど
EUSで膵・胆道領域を高解像度に描出し、EUS-TAで病理診断(腫瘍・リンパ節など)を行います。適応がある場合には、膵嚢胞や液体貯留に対するドレナージなどEUS関連処置も検討します。
呼吸器
- 経気管支肺生検や気管支肺胞洗浄
- 超音波ガイド下経気管支針生検(EBUS-TBNA)やガイドシース併用気管支内腔超音波診断(EBUS-GS)
上記業務の他にも、各分野において多岐にわたる診断と治療を行っています。
<当院での消化器内視鏡検査・治療件数:2025年 1〜12月>
- 上部消化管内視鏡検査
- 6537件
- 大腸内視鏡検査
- 3193件
- 上部消化管内視鏡処置(EMR/ESD)
- 192件
- 大腸ESD
- 58件
- ERCP
- 825件
- EUS
- 531件
- (EUS観察 約350件, EUS-TA 約150件, EUS関連処置 約50件)
- 小腸内視鏡検査
- 182件
設備
平成27年度に内視鏡機器は一新され、現在はオリンパス社とのVPP契約も利用しつつ、全分野で十分な機器を配備しております。令和8年4月現在、内視鏡検査は7室体制で稼働しています。内視鏡本体としてオリンパス社のEVIS X1 2台、LUCERA ELITE 7台、フジフイルム社のELUXEO 8000 1台、LESALIO 1台を常備しており、スコープは上部36本、下部22本、十二指腸9本、胆道鏡4本、超音波内視鏡9本、ダブルバルーン内視鏡5本・カプセル内視鏡システム2機、気管支鏡12本がフル稼働しています。透視台もCアーム型とI型が1台ずつあり、2列並行しての検査・治療が可能です。内視鏡の洗浄においても独立した洗浄スペースにおいてガイドラインに準じた高水準洗浄消毒が行われており、その全ての洗浄履歴を管理するシステムが稼働しています。また院内で使用されたすべての内視鏡の洗浄・保守管理の一元化を行っており、最新の感染・環境対策を行っています。
<内視鏡室従事者(2026年2月現在)>
- 医師(消化器領域, 大学院生含む):
-
- 内視鏡学会指導医
- 9名
- 内視鏡学会専門医(大学院生含む)
- 49名
- 他専攻医など
- 15名
- 内視鏡技師(専属):
- 4名
- 看護師:
- 常勤 14名, 非常勤 2名