肝疾患相談センター
肝疾患診療連携拠点病院としての取り組み
京大病院は、平成20年8月に京都府より肝疾患診療連携拠点病院に指定されました。
肝疾患診療連携拠点病院とは、京都府における肝疾患診療ネットワークの中核として、専門的診療の提供、医療機関との連携強化、患者支援体制の整備などを担う医療機関です。
京都府では当院と京都府立医科大学附属病院の2施設が指定されています。
この事業の一環として、京大病院内に肝疾患相談センターを開設し、患者さんやご家族からの相談に対応しております。
わが国における肝疾患の現状
我が国では、近年の疫学調査により、
• B型肝炎ウイルス(HBV)持続感染者:約110万人
• C型肝炎ウイルス(HCV)持続感染者:約90万人
と推定されており、現在も約200万人前後が慢性的なウイルス性肝炎を有していると考えられています(厚生労働省公表データ)。
これらの慢性肝炎は進行すると肝硬変や肝細胞がんへと至る可能性があります。
肝がんによる死亡者数は1990年代から2000年代にかけて増加しましたが、その後、C型肝炎に対する直接作用型抗ウイルス薬(DAA)の普及などにより減少傾向に転じ、近年では年間約2万5千人前後で推移しています(日本肝臓学会肝癌診療ガイドライン)。
かつては肝がんの大部分をウイルス性肝炎が占めていましたが、近年はウイルス制御の進展に伴いC型肝炎関連肝がんが減少し、アルコール性肝障害や脂肪性肝疾患(MASLD/MASH:代謝機能障害関連脂肪性肝疾患/脂肪肝炎)など、非B非C肝がんの割合が増加しています。
肝疾患の背景は大きく変化し、多様化しています。
進歩する肝疾患治療
現在では、HBVに対する核酸アナログ製剤による長期ウイルス抑制治療やHCVに対する高い治癒率を有するDAA治療など、有効性の高い治療法が確立されています。
さらに、肝がん治療においても、外科切除、肝移植、ラジオ波焼灼療法、マイクロ波凝固療法、定位放射線治療、カテーテル治療、薬物療法(分子標的薬や癌免疫療法)など治療選択肢が広がっており、患者さんの病期や肝機能に応じた個別化治療が可能となっています。
また、脂肪性肝炎(MASH)は、生活習慣改善を基本とする疾患である一方、近年は新規治療薬開発が進展しており、今後治療戦略の確立が期待される領域です。
早期発見・早期介入の重要性も高まっています。
なお残る課題
一方で、
・肝炎ウイルスに感染していることを知らない方
・感染を知りながら医療機関を受診していない方
が依然として存在すると考えられています。
また、脂肪性肝疾患やアルコール性肝障害などは自覚症状に乏しく、気づかないうちに進行することも少なくありません。年齢、肝機能、線維化の程度、合併症などにより最適な治療方針は異なるため、専門医による適切な評価と継続的な管理が重要です。
さらに、肝がんが進行した段階で発見された場合には治療選択肢が限られることもあり、予後にも大きく影響します。したがって、肝疾患の早期発見・早期治療につなげるために、検査や専門医受診へ円滑にアクセスできる体制の整備、相談支援の充実、地域医療との連携強化が重要です。
医療費助成制度について
肝炎ウイルスによる肝疾患の重症化の予防や早期の治療介入、重症肝疾患の支援を目的とした各種助成制度が運用されています。
ウイルス性肝炎初回精密検査・定期検査費用の助成
健診等で肝炎ウイルス陽性と判定された方を対象に、自治体の指定する専門医療機関にて、無料(または一部助成)で初回精密検査と年2回の定期検査を受けることができます。
肝炎治療に対する医療費の助成
B型およびC型ウイルス性肝炎に対する治療に関する医療費を助成する制度があります。肝炎治療は高額となることがありますが、この制度により、より多くの患者さんが適切な治療を受けられる体制が整えられています。
肝がん・重度肝硬変に対する医療費助成
B型もしくはC型肝炎が原因で肝癌・肝硬変と診断された場合、年収などの一定の条件を満たせば、自己負担額が最大月1万円となる医療費助成を受けることができます。
肝疾患相談センターのご案内
このような状況を踏まえ、京大病院では肝疾患相談センターを設置し、患者さんやご家族が適切な医療につながるよう支援しております。
電話による相談受付
毎週月曜日・水曜日・金曜日 午前10時から12時まで
京都大学医学部附属病院 肝疾患相談センター
電話番号:075-751-4701